妊娠および分娩時の血中エストリオールならびに随時部分尿中エストロゲン・クレアチニン比(E/C)に関する臨床的研究
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概要
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妊娠および分娩時の随時1回部分尿中のエストロゲン(以下Eと略)とクレアチニン(以下Cと略)を測定し,EとCの比すなわちE/Cを求め,血中のエストリオール(以下Etと略)と比較検討し,臨床応用を試みた. 1) 妊娠および分娩時の部分尿中E/C(以下尿中E/Cと略)と血中Etとの相関係数は,それぞれ0.87と0.80であり,部分尿中E(以下尿中Eと略)と血中Etのそれは,それぞれ0.57, 0.37であつた.前者の方に明らかに高い相関がみられた. 2) 分娩時の血中Etならびに尿中E/Cは,入院時と子宮口全開大時に有意差を認めなかつた(p>0.4, p>0.5). 3) 正常妊娠および予定日超過妊娠について尿中E/Cを測定し,妊娠各週の平均値と標準偏差を求めた.妊娠29週前後に平坦な時期があり,40〜42週にピークがあつた. 4) 妊娠17週から37〜42週まで尿中E/Cを反復測定した症例で,平均値より低値で経過した例は,生下時体重が小さいものが多く,予後の悪いものもあつた.妊娠中期から高値を持続した例は,生下時体重の平均値が高く,アプガスコアも全例良好であつた. 5) 妊娠時3回以上尿中E/Cを測定した症例についてE/Cインデックスを検討した. 6) 分娩前1週間以内と入院時の尿中E/Cを測定し比較検討したが,後者が有意に減少していた(0.02<p<0.05). 7) 妊娠36〜44週の尿中E/Cの値が25以上の症例の96%で生下時体重が2,500g以上であり,25未満の症例の45%が生下時体重2,500gより小であつた(p<0.001). 8) アプガスコア6点以下および生下時体重2,500g未満の症例の妊娠各時期における尿中E/Cは,大部分が平均値以下にあつた. 尿中E/Cを求めれば血中Etの動向を推定でき,臨床的にもきわめて有用と思われた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1977-01-01
著者
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