超音波断層法およびX線CTによる卵巣腫瘤診断に関する研究
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概要
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概要 卵巣悪性腫瘍の画像診断において、鑑別診断上もつとも問題となる類皮嚢胞腫と内膜症性嚢胞について、超音波断層法とX線CT(以下CT)の画像情報を分類、分析し、卵巣悪性腫瘍の鑑別に資するとともに、両検査法の役割を明確にし、検査効率を向上させるための体系作りを行なつた。対象ぱ、超音波断層法を施行した悪性卵巣腫瘍67例、類皮嚢胞腫82例、内膜症性嚢胞43例、その他130例の計322例の卵巣疾患であり、CTぱ268例に施行した。結果ぱ以下のごとくである。 1)超音波断層法およびCTによる卵巣悪性腫瘍の診断精度ぱ、有病正診率が各々82%、88%、有職正診率ぱ59%、83%であり、両者を施行したもののうち超音波断層法による偽陽性例ぱ39例、CTでは12例であつた。 2)類皮嚢胞腫ぱ、超音波断暦法でI群から?群までの計12型に、CTでぱ6型に分類し検討した。内膜症性嚢胞ぱ、両検査法とも3項目について詳細に分析した。 3)類皮嚢胞腫の超音波分類で、主として嚢胞性腫瘤内に辺縁不整な充実様部分を有するV群と、主として充実様腫瘤で内部に嚢胞性部分を有する?群のパターンを示すものぱ、卵巣悪性腫瘍との鑑別上重要な所見といえる。 4)内膜症性嚢胞の超音波分類で、嚢胞性部分と充実様部分とが混在する?-C型は、すべてCT上充実性部分が腫瘤内に描出されず、CTでぱ1例を除いた97%が良性と診断された。 以上より、超音波分類で類皮嚢胞腫のうち合計27%を占める?、?群や、内膜症性嚢胞の42%を占める?-C型のパターンを示す卵巣腫瘤にぱ、両者の否定診断にCTが有用といえる。従つてCTの併用により類皮嚢胞腫ないしぱ内膜症性嚢胞であることが否定された場合にぱ、悪性腫瘍である可能性の極めて高くなることが示唆され、超音波断層法とCTの役割をより明確なものとし得た。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1986-12-01
著者
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