産褥期の骨密度変化に関する研究
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概要
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産褥期の女性の骨密度および骨代謝マーカーを測定し,妊娠や授乳が骨密度に与える影響につき検討した.115名の産褥婦人を研究対象,正常月経周期を有する未産非妊婦40名を対照群とし,第2腰椎&siM;第4腰椎の平均骨密度bone Mineral density (BMD)をdual-energy X-ray absorptioMetry (DEXA)法で測定した.骨代謝マーカーは血中インタクトオステオカルシン(i-OC),酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ(TRACP)を測定した.産褥7日以内のBMDは対照群と比較し,有意差は認められなかった.また,母乳哺育群での産褥1カ月,3カ月におけるBMDの変化は分娩直後に比べ-2.5%,-5.6%でいずれも有意の減少を認めた(n=44,p<0.05).一方,産褥3カ月での人工栄養群のBMDの変化は,分娩直後に比べ-1.7%で有意差は認められなかった(n=10).母乳哺育群のi-OCは分娩直後は対照群と比較し有意差はないものの低下傾向を示し,母乳哺育1カ月では対照群と同等のレベルとなり,母乳哺育3カ月では対照群および分娩直後と比較し有意に上昇していた(p<0.05).母乳哺育群のTRACPは分娩直後では対照群と比較し有意差はないものの低下傾向を示し,1カ月で対照群および分娩直後と比べ有意の上昇を認めた(p<0.05).3カ月では1カ月と比べ低下し,対照群および分娩直後と比べ有意差を認めなかった.以上より1) BMDは正常妊娠によっては差を生ぜず,分娩後母乳哺育を継続することにより減少するものと思われた.2) 母乳哺育1カ月では骨吸収が急激に進み,3カ月では骨吸収が緩徐になり骨形成がこれを上回ってくることが示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 2000-01-01
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