TRIGLYCERIDES AND APOPROTEINS IN TOXEMIA OF PREGNANCY
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概要
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妊娠中毒症における高トリグリセライド血症の成因を解明する目的でリポ蛋白の構成および代謝に関与するアポ蛋白の面より研究を行った。妊娠中毒症妊婦の血中トリグリセライドの増加は, VLDL分画中のトリグリセライドの増加が主因であったが, LDL画分でも認められた。妊娠中毒症妊婦の血清において, 一元免疫拡散法により測定したアポ蛋白の分析では, 正常妊婦に比しトリグリセライドが有意に増加しているにもかかわらず, LDLレセプターに親和性のあるアポ蛋白BおよびEの増加はみられなかった。このことは, VLDLおよびVLDL-remnantの異化障害を示すものと考えられた。また, VLDL画分のアポ蛋白Cの等電点電気泳動による分析において, リポプロテインリパーゼの活性化因子とされるアポ蛋白CIIと抑制因子とされるCIIIの相対比 (CII/CIII_0+CIII_1+CIII_2) が, 正常妊婦では, 非妊時より増加することを知り得た。このことは正常妊婦では, リポプロテインリパーゼ活性が冗進し, 活発にVLDLの異化が行われているのに対して, 妊娠中毒症妊婦では, その相対比の増加がみられず, VLDLからLDLへの異化が障害されていると考えられた。すなわち, 妊娠中毒症の高トリグリセライド血症はTriglyceride-richリポ蛋白の異化障害によるものであり, それはアポ蛋白の代謝異常が一因であると考えられた。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1988-12-01