HEPATIC GLYCOGEN METABOLISM IN NORMAL DEVELOPING AND INTRAUTERINE GROWTH-RETARDED RAT FETUSES
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概要
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Wistar系妊娠ラットを用いて, 妊娠17日目の母獣子宮動静脈を結紮する Wigglesworth変法により, 胎内発育遅延(IUGR)ラット胎仔を製成した. 正常発育とIUGR胎仔の肝glycogenとglycogen代謝における合成律速酵素であるsynthaseおよび分解律速酵素であるphosphorylaseの活性を経日的に比較検討した. また, 組織染色法を用いて光顕および電顕レベルにおける肝細胞内glycogenの組織局在の検索を加えた. 1. 正常群とIUGR群の胎仔重量, 肝重量および肝glycogen量は妊娠日数とともに増加したが, IUGR 群は妊娠20日, 21日目の増加率は有意な低い値を示した (p<0.01). 2. 妊娠末期におけるtotalおよびactive synthaseとphosphorylaseの活性は正常群, IUGR群とも増加したが, IUGR群では有意な低下を示した (p<0.001). 3. 正常群におけるsynthase (I/I+D)比およびphosphorylase (a/a+b)比はそれぞれ7.83%と36.7%, それと比べIUGR群では6.9%と32.1%であり, IUGR群における酵素活性比は低いことを示した. 4. 光顕および電顕レベルにおける肝glycogenの局在分布は生化学の結果と一致することを認めた. 以上よりIUGR胎仔肝glycogen量の減少はsynthase活性, 主に(I)型の活性に依存している. まだ, IUGR新生仔の低血糖の発見機構は肝glycogen量の減少だけでなく, glycogenの合成系と分解系の酵素の低下に影響される. とくにphospharylase (a)型の減少に依ることを強く示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1988-06-01