当科で扱った続発婦人科癌の臨床的検討
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概要
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我が国においては, 平均寿命は延長しかつ癌の早期発見例の増加と治療成績の向上により, 既往に悪性疾患罹患歴を有する高齢者が増加する時代を迎えつつある. そこで婦人科癌患者のうち先行又は同時に存在する癌をもつ症例(以下, 本稿では統発婦人科癌症例と称する)についてその臨床的特徴を調べた. 1985年から1996年までの総数1,811例のうち55例が続発婦人科癌症例であった. 各々の癌における続発癌の割合は, 頸癌2.3%(30/1,302), 体癌4.5%(11/246), 卵巣癌6.8%(10/147), 腔癌13.3%(4/30), 外陰癌5.7%(2/35)であり, 頸癌よりは体癌や卵巣癌の方が続発婦人科癌の割合が高かった. 初発癌の部位は, 乳腺が41.8%(23/55)と最も多く, 消化器が25.5%でこれについでいた. また乳癌は, 続発頚癌の65.2%(15/23), 体癌の13.0%(3/23), 卵巣癌の17.4%(4/23)に先行していた. 初発癌発生年齢は51.6±11.6歳, 続発婦人科癌は61.4±12.2歳, 発生間隔は9.9±9.5年であった. 55例中19例は5年未満に続発癌が発生していた. 共分散分析にて, 消化器癌を除き初発年齢が高齢になるほど続発婦人科癌発生までの期間が短縮することが判明した(p<0.05). 癌家族歴をもつ続発婦人科癌患者は56.4%(31/55)であった. 親等が離れていくほど家族歴に癌はみられなくなっていく傾向があった. 婦人科医にとって続発癌を早期発見するための対応策として, 癌既往患者, 特に乳癌既往患者ならびに癌家族歴を有する患者の積極的な経過追跡および婦人科癌早期発見のための婦人科癌検診を推奨すること, そして高齢者ほど頻繁に綿密な管理を施行することが重要と考えられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1997-05-01
著者
-
工藤 尚文
岡山大学医学部産科婦人科
-
児玉 順一
岡山大学医学部産婦人科
-
宮木 康成
岡山大福クリニック
-
奥田 博之
岡山大保健学科
-
奥田 博之
岡山大学医学部保健学科
-
宮木 康成
岡山赤十字病院
-
小橋 勇二
岡山大学医学部産科婦人科学教室
-
吉野内 光夫
岡山大学医学部産科婦人科
-
山田 詞奈子
岡山大
-
山本 順子
岡山大
-
宮木 裕司
岡山大学医学部産婦人科
-
宮木 康成
岡山大学医学部産科婦人科学教室
-
山本 順子
岡山大学医学部産科婦人科学教室
-
吉野内 光夫
岡山大学 医学部 産科婦人科学 教室
-
河西 邦浩
福山市民病院
-
山田 詞奈子
岡山大学医学部産科婦人科
-
河西 邦浩
岡山大学医学部産科婦人科
-
児玉 順一
岡山大学大学院医歯学総合研究科産科婦人科学講座
-
奥田 博之
岡山大学医学部三朝分院
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