妊婦日常生活の子宮収縮におよぼす影響に関する研究
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概要
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陣痛外側計および家庭用陣痛計を用い,日常生活の諸作業が子宮収縮におよぼす影響を検討した.1)子宮収縮出現回数:正常妊娠時の30分間の子宮収縮数(収縮持続時間31〜180秒)は妊娠第5月までは徐々に増加するが,第6,7月では平均1.3〜1.5で90%ti1eは3.0であった.第8月以降再び増加し,第10月では平均4.8で90%tileは10.Oであった.2)入浴:妊娠月別による変動が見られた(χ^2_0=16.473>χ^2=15.086,p<0.01).第7月以前の26%に対し,第8月以降では61%と増強する(p=0.0008).とくに,第8,9月は各々65,71%と著明であるが,第10月は53%と増強例が少なくなる(p=0.047).3)外出:妊娠月別による変動は見られたかった(χ^2_0=5.898<χ^2=11.070,p>0.05).しかし,第9月以降は増強する.第7月以前の50%以下に比し,第9,10月は各々74.68%と増加し,収縮の増強例が多くなる(p=0.031).また,乗物別では電車利用時に,著明な収縮増強を認めた.4)日内変動:妊娠月別による変動が見られた(χ^2_0=15.258>χ^2=13.277,p<0.01).第7月以前に比し,第8月以降では夜間の収縮増強例が減少した(p=0.007).5)性生活:妊婦の性交時orgasm後に著明な収縮増強を認めた.6)体操:妊娠月別による変動が見られた(χ^2_0=9.843〉χ^2=9.488,p<0.05).第7月以前の36%に対し,第8月以降は51%と増強した(p=0.019).第10月では37%であるが,第8,9月の51.65%に比し,収縮への影響は少たくなる傾向がある(p=0.053).7)水泳:収縮への影響は少なく,妊娠月別に差はなかった(χ^2_0=3,713<χ^2=9.236,p>0.10).8)切迫早産群:正期産群に比し,入浴(p=0,054)・外出(p=0.04)と共に影響を受けやすく,収縮が早期より増強する.日内変動では夜間増強する傾向が認められた(p=0,059).9)頚管成熟1初産婦では90%tileを越す異常収縮が出現した12例中7例(64%),経産婦では6例中4例(67%)に,早期に頚管成熟を認めた.本研究の特徴は妊婦の家庭内における自然子宮収縮の状態を観察した点にある.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1984-04-01
著者
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