子宮内膜病変におけるPCNA, p53遺伝子産物およびc-erbB-2遺伝子産物の発現に関する免疫組織化学的研究
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概要
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正常子宮内膜15例, 内膜増殖症20例および子宮体癌49例の生検組織切片を用いて, 免疫組織化学的染色を行い, proliferating cell nuclear antigen (PCNA), 変異型p53蛋白およびc-erbB-2遺伝子蛋白の発現について検討した. なお組織採取とその後の検査を含めた今回の研究は, ヘルシンキ宣言に基づき, 対象例に事前に十分な説明を行い, インフォームド・コンセントを得たうえで行った. その結果, PCNAは正常内膜, 増殖症および体癌の60%, 75%および65.3%に陽性であり, 陽性細胞の割合が50%以上であった例はそれぞれ6.7%, 0%および24.5%であった. 変異型p53蛋白は正常内膜および内膜増殖症ですべて陰性であったのに対して, 体癌では59.2%であり, 進行例, 低分化例, リンパ節転移例および筋層浸潤の深い例ほど発現率は高かった. c-erbB-2蛋白は, 体癌の22.4%に陽性であり, 筋層浸潤の深い例に発現率の高い傾向が窺われた. 以上の成績より, PCNA, 変異型p53蛋白やc-erbB-2遺伝子蛋白は子宮体癌の主として増殖能に関与していることが示唆され, それらの発現の有無は, 患者の予後を推定するうえでの有用な指標となり得るものと考えられる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1996-04-01
著者
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