LH-RHのラット下垂体前葉における作用機序についての研究
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概要
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LH-RHのラット下垂体前葉への影響をin vivo, in vitroで検討し,次の結果を得た. 1) in vivoでラットに合成LH-RH 100ng投与後,15分でラット下垂体前葉中のcyclic AMP濃度は最高に達した. 2) 合成LH-RH 100ng静注後,15分でラット下垂体前葉を摘出し,in vitroで^3H-uridine uptakeを測定すると,15分で上昇を開始し,30分後には最高値を示した. 3) この^3H-uridine uptakeは,RNA合成阻害剤であるActinomycin D添加により抑制されるので,この^3H-uridineはRNAに取り込まれるのであろう. 4) cyclic AMP濃度の上昇とRNA合成促進との関連性を検討する為に,in vitroでmedium中にdibutyryl cyclic AMPを加え,ラット下垂体前葉と15分,30分,2時間,4時間のPreincubationを行い,^3H-uridine uptakeを測定したが,いずれもコントロールとくらべ差がなかつた. 5) このRNA合成促進が,LH合成促進と,関係があるか否かを検討する為に,in vitroでmedium中に合成LH-RH単独添加群,合成LH-RHとActinomycin D添加群,コントロール群の3群にわけ,ラット下垂体前葉と,incubateしmedium中と下垂体前葉中のLHを測定した.これによると合成LH-RH単独添加群はコントロール群にくらべ,全LHは有意な高値を示し,合成LH-RHとActinomycin D添加群では,コントロールにくらべ,全LHは有意の低値を示した.このことより合成LH-RHには,LH放出作用の他に,合成作用もあり,この合成作用はRNA合成と関連性のあることが推察された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1976-05-01