無排卵症婦人における卵巣の病理組織学的研究
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概要
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薬物による種々の排卵誘発法を試み,排卵の起こらなかつた無排卵症婦人45例に対し卵巣楔状切除術を行い,得られた組織片について妊孕可能な年令の正常婦人16例の卵巣と比較し病理組織学的に検索を行い,次の成績を得た. 1) 無排卵症婦人の卵巣は病理組織学的に(1)非特異型,(2)PCO,(3)硬化型,(4)萎縮型,(5)発育不全型,(6)形成不全型,(7)無形成型の7型に分類できた.2) 無排卵周期症の卵巣はすべてPCOであつた.卵巣楔状切除術後全例に排卵をみた.3) 第1度無月経の卵巣は非特異型,PCOおよび硬化型であり,組織学的変化は軽度のものが多かつた.卵巣楔状切除術後の排卵率は87.5%であつた.4) 続発第2度無月経の卵巣は,非特異型,PCO,硬化型,萎縮型および形成不全型が含まれ,組織学的に多彩な所見を示した.組織学的変化は同一組織型でも第1度無月経に比し高度であつた.卵巣楔状切除術後の排卵率は31.6%であつた.5) 原発第2度無月経の卵巣は,発育不全型および無形成型のみで組織学的に高度な異常を示した.6) 卵巣の組織学的分類による楔状切除術後排卵率は非特異型86%,PCO79%,硬化型33%であり,他の組織型での排卵はなかつた.7) 卵巣楔状切除術後排卵の有無と卵巣組織所見について総括すると,排卵例では顆粒膜および内莢膜の肥厚,ルテイン化が著明であり,無排卵例では皮質の硬化性変化および薄層化が著明であつた。無排卵例には卵胞成分の全く認められない卵巣がみられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1976-05-01
著者
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