子宮体癌における核DNA量および組織学的因子による予後評価
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概要
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子宮体癌の子宮摘出組織標本のパラフィン包埋組織を利用して, 核DNA量を解析した. そして, 組織学的予後因子と核DNA量との関連を分析し以下の結果を得た. 1. パラフィン包埋組織での核DNA測定は, CV値が3.5%〜8.0%と良好な値を示し, 評価に耐えうるものであった. 2. 核DNAの aneuploidは, 全体で39.2%(51例中20例), 術後進行期別ではI期22.9%, II期72.7%, III期80.0%を占め, 進行期に関連した. 3. aneuploidの各組織型別頻度は, 内膜型腺癌31.4%, 腺棘細胞癌28.6%に対し漿液性腺癌では87.5%と高い頻度であった. 4. aneuploidの浸潤の深さ別の頻度は, 筋層内1/3以下16.0%, 1/3を超え2/3以下で42.9%, 2/3を超えたもので80.0%で浸潤の深さに関連した. 5. リンパ節転移は, diploidの3.4%に対し aneuploidは26.3%と有意に高い頻度であった. 6. 核DNA量と5年生存率では, diploidの96.8%に対し aneuploidは62.7%で有意に予後が低下した (p<0.05). 核DNA量は, 組織学的予後因子と密接な関連を示し, 生物学的悪性度を示す指標となることから予後を推定するうえで有用と考えられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1995-04-01