Fat saturation法を用いたmagnetic resonance imagingによる子宮内膜症の診断に関する検討
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概要
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Magnetic resonance imaging (MRI)は子宮内膜症の非侵襲的診断法の一つであるが, 脂肪組織との鑑別が困難である欠点があり, 子宮内膜症の小病変を同定することは不可能である. そこで本研究においては MRIに選択的に脂肪を抑制する fat saturation法を用いて子宮内膜症の小病変の診断が可能かどうかを通常のMRIと比較検討した. 研究対象は臨床的に子宮内膜症が疑われ MRIの撮影の後に腹腔鏡あるいは開腹手術により確定診断の得られた74例である. MRIは 1.5T超伝導装置を用い, spin echo法にてT1強調画像, T2強調画像, fat saturation T1強調画像を撮影し, 子宮内膜症病変の存在部位, 大きさ, 数について術前のMRI所見と腹腔内所見を比較検討した. 子宮内膜症が確定診断されたのは65例であり, 正常骨盤内所見が6例, 卵管留血腫2例, 出血性卵巣黄体1例であった, 子宮内膜症診断における fat saturation法の sensitivity, specificity, positive predictive value, negative predictive valueはそれぞれ87.7%, 66.7%, 95.0%, 42.9%であった. 160の色素性病変のうち通常の MRIで100病巣 (62.5%)が発見できたが, fat saturation法を追加すると133病巣(83.1%)が発見可能となった. 10mm以上の病変では通常のMRIでも fat saturation法を追加した場合でも差は認められなかったが, 10mm未満の小病変については通常のMRIでは18病巣しか発見できなかったが, fat saturation法を追加すると48病巣発見でき有意に発見率は向上した. 特にブルーべリー斑については通常のMRIでは3病巣のみ発見されたが, fat saturation法を追加すると21病巣と増加した. このように通常のMRIにfat saturation法を追加することにより小病変の発見率が上昇した. ゆえに fat saturation法を用いたMRIは子宮内膜症の小病変の診断に有用である.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1995-03-01
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