卵胞発育における卵胞壁構築と顆粒膜細胞と莢膜細胞のcellular interactionについての研究
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概要
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卵胞発育機序解明のためコラーゲンマトリックス培養法を用いて顆粒膜細胞と莢膜細胞の3次元共培養を行った. 豚中卵胞より分離した莢膜細胞をコラーゲンゲル内に包埋培養し, 更にその上に同時に分離した顆粒膜細胞を培養 (以下重層培養) することにより, in vivoにおける構築を in vitroで再現した. 卵胞壁構築が顆粒膜細胞と莢膜細胞の cellular interactionに如何に関与するかを検討するため, 同時に従来の共培養 (以下混合単層培養)をコラーゲンゲル上で行い培養7日目の細胞を超微形態学的に比較検討した. また重層培養と混合単層培養でのステロイド産生能を比較するため, 各々の単独培養と共培養の培養開始後24時間の培養上清中のステロイドを測定した. 重層培養の顆粒膜細胞は多層に増殖し, 個々の細胞は多角形で細胞内小器官の発育も豊富であった. 細胞間は gap junctionなどの細胞間結合がより多く観察され, 細胞基底部のゲルとの接触部には基底膜様構造が観察された. それに対して, 混合単層培養における培養細胞は偏平で1層に発育し, 細胞間隙は広く, ゲルとの接触部にも特別な構造はみられなかった. Estradiol産生量は, 重層培養, 混合単層培養いずれも顆粒膜細胞と莢膜細胞の共培養により相乗作用がみられた. 一方 androstenedione産生量は重層培養では各々単独培養の総和より増加傾向を示したが, 逆に混合単層培養では減少傾向を示し, 共培養による効果は両者で異なった. 以上の結果より卵胞壁の構築は顆粒膜細胞と莢膜細胞の形態および機能の発現に重要な役割を担ってることが示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1995-03-01
著者
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