卵巣悪性腫瘍の細胞診に関する研究 : 特に腹水中の腫瘍細胞の形態を中心に
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概要
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卵巣悪性腫瘍32例について腹水中の腫瘍細胞の形態を検討した結果,次の様な結論を得た. 1) 腫瘍細胞は集塊ななして存在することが多く,種々の形状から10個の名称を付したが,いずれも悪性特有の集塊であり,これにより非癌細胞との鑑別もある程度可能で,腹水細胞診における重要な所見の一つと考える.さらに細胞集塊と原発巣との関連を追求したが,組織型により多少の有意差を示し,ある程度の推察はなしうるものと思われる. 2) 細胞質は腟細胞診に比すれば,特に重視すべきで,その大きさからもlow potential malignancy(以下1.p-malig.と略)と腺癌は鑑別可能であり,空胞による印環輪型やmicrovilliなどの所見にも注目すべきである. 3) 核の所見を重視することはいうまでもないが,特に,核小体/核比が0.2以上であれば,悪性を疑い,一つの指標となり得る可能性がある. 4) 核小体とchromatinの関係の新たな分類を試み,5型に類別したが,embryonal carcinoma(以下,emb.ca.と略)では分岐array型が特異的に観察された. 5) 日常検査で腫瘍細胞との鑑別を容易にするためPapanicolau(以下,Pap.と略)染色によるL.R.C.分類を試み検討したが,細胞の識別に刊用し得ると共に組織型ともある程度の関連を有することが判明した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1975-07-01
著者
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