放射線による子宮頚部扁平上皮癌の早期変化,特に細胞核径の計測を中心として
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概要
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子宮頚癌の照射早期における形態学的変化について,放射線療法を行った53例を用い,特に旁基底細胞型癌細胞に観察目標をおき,計測的立場から定量的検討を行い,以下の結果を得た. 1. 拡大投影法による計測上の旁基底細胞型癌細胞の核径は正常の旁基底細胞のそれに比し均一性を欠くが,平均1.1倍の大きさを示し11.0μと計算された. 2. 核径のhistogram及び平均値の検討から癌細胞核は照射500γ前後ですでに腫大傾向を示し線量の増加とともに著明になる事が認められた. 3. 同一例の追跡検討でも核径の上昇傾向が明らかで,著しく少数の減少を示した例では材料による差が考えられ,500γで既に過半数は照射前の10%以上の上昇を示した. 4. 細胞質径の検討では,核径の場合とほぼ同様の成績を示し癌細胞の細胞質は核径とほぼ平行して照射線量の増加とともに腫大を示すと思われる. 5. 核濃縮及び核質偏在は500γでも認め得るが,その発現頻度や程度は低く,核や細胞質の腫大の如く明らかとは言い難い.しかしやはり線量と共に所見を認める事が多く,早期変化に属すると思われる. 6. 核淡染及び細胞質内空胞は核濃染や核質偏在よりも少なく,かつより遅れて出現する事が認められた. 7. 核内空胞は2000γで認められ,巨核形成,核濃縮,核崩壊は組織構造の変化が認め得る3000γ前後で漸く出現し,これらはもはや早期変化とは言い難いと思われる. 8. 従って癌の放射線感受性検査の早期判定には最も早期から認められる核腫大,さらには細胞質腫大を指標とする事が重要であると考えられる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1975-07-01
著者
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