ヒト胎盤の抗原系について : O型抗原の分析を中心に
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概要
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絨毛性腫瘍の発症進展には絨毛組織抗原が重要な役割をはたしているといわれている.そこで,ヒト絨毛組織の抗原を分析して,正常絨毛組織抗原と絨毛性腫瘍組織抗原との異同を識別し,さらに,これら抗原のうち絨毛性腫瘍の免疫療法に関連する抗原について検討を加え,次の結果を得た. 1. ウサギおよびニワトリを使用した免疫実験により,絨毛組織には種属特異性抗原,ABO式血液型抗原,加賀谷-Eisler抗原,組織適合性抗原,絨毛組織特異抗原等数種の抗原が含まれていることを知り得た. 2. これら抗原はいずれもきわめて微量であるが,特にABO式血液型抗原は通常検査法として使用されている凝集素吸収試験によっては識別できないほど微量であった.また絨毛組織特異抗原は絨毛性腫瘍の病的組織では消失していた. 3. 加賀谷-Eisler抗原は胃癌抗原ならびに各種臓器との共通抗原として識別され,免疫療法に関与する白血球抗原との共通抗原もこの範疇に属するものであった. 4. 由来する個体を異にする多数のヒト肝臓吸収抗血清とヒト肝臓ならびに絨毛組織とのLatex凝集反応により,1個体の臓器間における共通抗原に違いを認めたので,これが組織適合性抗原ではなかろうかと考えた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1975-07-01
著者
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