先天性性腺発育異常症の臨床的研究
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概要
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過去10年間に原発性無月経を主訴として来院した症例の中,細胞遺伝学的検査並びに内分泌学的検査に加え,性腺の病理学的な検査の結果,性腺発育障害と診断された症例を染色体構成別に分類し,臨床像,内分泌像及び性腺の病理組織像との関連について検索し以下の成績を得た.その内訳は45,X群14例,mosaic及びX染色体の構造異常群8例,46XX群9例,46XY群4例,合計35例である. 1) short stature,webbed neck,cubitus valgus等の体表奇形や内臓奇形は,45,X群及び45,X/46,XX群の多くの症例に認められた.46XX群に於ては,1例にcubitus valgusを認めたがsexual infantilism以外,他の体表奇形及び内臓奇形は認められなかった. 2) 内分泌学的には,45,X群及び45,X/46,XX群はFSH,LH高値,estradiol低値のhypergonadotropic hypogonadismの内分泌像を示しLH-RH投与に良く反応し下垂体性gonadotropinの放出を認めた.更に性steroid hormone投与に依る下垂体性gonadotropinの分泌抑制が観察された.9例の46,XX群の症例のうち7例にLH-RH testを行い,1例を除いた他の症例は,FSH,LH estradiol低値のhypogonadotropic hypogonadismの内分泌像を示し,LH-RH投与による下垂体性gonadotropinの放出は認められなかった. 3) 病理組織学的には,19例に試験開腹を施行し,性腺の肉眼的所見及び病理組織像について検討した.肉眼的には何れも白色索状の未分化の状態を呈し,その病理組織所見は45,X群及び45,X/46,XX群の何れも線維性結合織で占められgerminal elementは認められなかった.一方46,XX群の9例中7例に原始卵胞を認めたが発育過程の卵胞は認められなかった. 4) 病理組織学的に原始卵胞を有する5例にH.M.G.を負荷しその反応を観察したが,投与量の範囲に於ては,H.M.G.に対する反応は全く認められなかった.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1975-07-01
著者
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