Dehydroepiandrosterone-sulfate (DHEA-S)負荷による胎盤機能検査法に関する研究
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概要
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胎盤のaromatization能から胎盤機能を知ろうとする方法としてのdehydroepiandrosterone-sulfate (DHEA-S)負荷試験法のうち,短時間で判定の可能な母体静注後の経時的採尿法について検討を加えた.1) 4時間ごとの尿中E値日内変動(20例),DHEA-S 50mg, 100mg及び200mg負荷後の血中E及びDHEA値の時間的推移並びに尿中E及び17KS値の4時間ごとの変動(3例),^3H-DHEA-Sと共に上記量を負荷したあと4時間ごとの尿中放射性E分画及び中性分画の回収率(7例)について検討し,(1)尿中E値の有意に増加するのは負荷後8時間までであることから,採尿時間は負荷前4時間及び負荷後4時間ごとに8時間までとした.(2)DHEA-Sの負荷量については,この採尿法で8時間後までの4時間ごとの有意差の尿中E値の増加は100mg以上負荷ではほぼ100%・50mg負荷でもほぼ80%の例にみられる事が示された.2) 妊娠後期の妊婦80例について本試験を行い(DHEA-S 50mg負荷30例,100mg負荷20例,200mg負荷30例),(1)尿中E値の増加量には負荷量による明らかな増量はみられないこと,及び(2)急増型(投与後4時間E値が最高で,前値より2mg/4h以上増加),漸増型(投与後8時間値が最高で,前値より2mg/4h以上増加)及び不全型(増加E値が2mg/4h以下)の3型に分類出来る.3) 3型分類の成績と母体並びに児の予後(異常妊娠の有無並びに切迫仮死,胎内死亡率及び低体重児出生率)との関係を検し,急増型は胎盤機能が良く母児の予後の良好な型,漸増型は胎盤機能軽度低下が疑われる要警戒型,不全型は胎盤機能の不良な母児の予後の悪い危険型と考えられる成績が得られた.4) 非負荷の尿中E値による胎児胎盤系機能検査法と本負荷試験の併用により児の予後をより的確に判定出来ることが示された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1975-05-01
著者
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