加齢の腎機能検査値に及ぼす影響について
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概要
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加齢の腎機能検査値に与える影響を調べた. 対象は, 人間ドック受診者のうち, 健康と診断された女性746例である. 28〜39歳(以下30歳代), 40〜49歳(同40歳代), 50〜59歳(同50歳代)および60〜69歳(同60歳代)の4群に分け, 血中尿素窒素, クレアチニンおよび尿酸値を測定した. 尿素窒素, 尿酸値は30歳代と40歳代の間には有意差はみられず, 50歳代と60歳代で, 30歳代, 40歳代に比較して有意に高値を示した(p<0.01). 一方, クレアチニン値は4群間で有意差がみられなかった. すなわち, 尿素窒素および尿酸値は, 50歳を境に有意に上昇するのに対して, クレアチニン値は全年代を通じて変化がみられなかった. 閉経の平均年齢が50歳であること, および,45〜54歳の症例で検討した結果, 尿酸値が, 閉経前に比し, 閉経後有意に高値を示した(p<0.05)ことより, 女性ホルモンがこの一連の変化に何らかの形で関与している可能性も示唆された. しかし, この点については, さらに男性との比較の面などからも検討する必要があると考える.
- 1994-12-01