腹膜子宮内膜症の発生機序に関する研究 : 走査型電子顕微鏡による解析
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概要
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腹膜子宮内膜症の発生機序を明らかにする目的で, 走査型電子顕微鏡および光学顕微鏡による形態学的検討を行った. 腹腔鏡下に, 腹膜子宮内膜症と思われる部位を試験切除し, その腹膜面を走査型電子顕微鏡で観察後, 一部の症例では, その所見に対する組織学的検討を行うために, 同一検体をエポン樹脂に包埋, 薄切片を作製し, 光学顕微鏡で観察した. その結果, 走査型電子顕微鏡では, 線毛細胞は観察されなかったが, 44検体中17検体で敷石状に配列する半球状に膨隆した細胞が認められ, 光学顕微鏡によるその組織所見から, これらは上皮様変化を起こした中皮細胞と推測された. またその細胞表面には細胞膜の襞および陥没などが観察され, 1例ではアポクリン分泌所見を認めた. さらに, 上記の形態変化を起こした中皮細胞が配列する腹膜表面の構築は, 必ずしも平坦ではなく, 陥入像および腺開口様所見が観察された. 以上は, 腹膜中皮からMuller管上皮への分化の転換過程としての形態変化と考えられ, 子宮内膜症の発生における化生説を支持する所見と思われた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1994-10-01
著者
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