排卵を有する不妊婦人に対するhMG療法の有用性に関する検討

概要

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原因不明の不妊症患者に対するhMG療法の有用性を検討するため, 当科のhMG投与周期における妊娠症例99例のうち, 無治療でも排卵を有する症例 (A群) 68例に注目し, 各種の原因による無排卵症例 (B群) 31例とその背景, 妊娠の転帰などを比較し, 以下の結果を得た。1. A群の平均年齢がB群と比較して有意に高く, 不妊期間が長いが, 両群間でhCG切替時の卵胞数, 卵胞径, hCG投与量に差を認めず, 当科における妊娠に至る全治療期間, hMG投与周期数にも差がなかった。2. A群の自然流産率は13.2%とB群 (6.5%) の2倍高値であった。多胎率は, B群で39%に認められたが, A群では8.8%に過ぎず, 品胎以上はA群では一例もなかった。3. n度以上の卵巣過剰刺激症候群は, A群で11.8%に発生したが, これはB群 (25.8%) の半数以下であった。以上より, 排卵を有する不妊症例に対するhMG療法は, 卵胞管理を厳重に行うことで, 大きな危険を伴うことなく, 妊娠成立に至らしめる可能性を有することが示唆された。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1994-03-01