子宮頚部扁平上皮および扁平上皮癌における糖鎖抗原の表現に関する免疫組織学的解析
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概要
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正常子宮頚部扁平上皮組織 (15例) および子宮頚部扁平上皮癌 (頚癌) 組織 (49例) における, CA50, CA19-9, sialyl SSEA-1およびDU-PAN-2の4種類の糖鎖抗原の表現につき免疫組織学的解析を行った。また,増殖期にある細胞の核に反応するモノクローナル抗体Ki67を用い, これらの表現と細胞増殖との関連につき解析を行い, さらにリンパ節転移との関連を検討し以下の成績を得た。1. 正常扁平上皮においては, CA50, CA19-9はそれぞれ基底層から表層, 傍基底層から表層の細胞に認められ, ともに深層から表層に向かうに従い染色性の低下が観察された。sialyl SSEA-1は表層細胞にのみ陽性所見が認められた。DU-PAN-2はいずれの正常扁平上皮においても陽性所見が認められなかった。2. 頚癌では, CA50 25/49例 (51.0%), CA19-9 24/49例(49.0%) がそれぞれ陽性であったが, うち15/25例(60.0%) 18/24例 (75.0%) でそれぞれheterogeneousな表現を示した。sialyl SSEA-1は27/49例 (55.1%), DU-PAN-2は13/49例 (26.5%) が陽性であり, 陽性例はいずれもheterogeneousな表現を示した。3. Ki67陽性細胞はsialyl SSEA-1の陽性領域において減少する傾向を示した。4. sialyl SSEA-1陽性細胞が癌胞巣内に散在性に観察される症例のリンパ節転移の頻度 (8例/10例, 80.0%)は, 他の表現様式を示す症例のそれ (9例/28例, 32.1%) に比較し推計学的に有意に高率であった(p<0.05)。
- 1994-02-01