雌ラットの性成熟過程におけるプロラクチンの役割について
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概要
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雌ラットの性成熟過程におけるプロラクチン(PRL)の作用を, 薬剤誘発性の高PRL血症および低PRL血症モデルを用いて検討した. 1. 雌ラットが生理的に低い血中PRL値を示す生後第3週以前におけるPRLの作用を調べるために, 10日齢〜20日齢までスルピリドを連日皮下投与して誘発した高PRL血症が卵巣・子宮重量, 血中ホルモン値および摘出卵巣培養系におけるエストラジオール(E_2)放出に及ぼす影響を検討した. その結果15日齢および20日齢における子宮重量の増加抑制, 20日齢における血中E_2値の低下, 15日齢における摘出卵巣からのE_2放出抑制を認めた. 2. 雌ラットが生理的に高い血中PRL値を示す生後第4週以降onset of puberty(腔開口および初回排卵を基準とした)におけるPRLの作用を調べるために, 22日齢からスルピリド又はブロモクリプチンを経口投与して誘発した高PRL血症又は低PRL血症がonset of puberty, およびその時点における卵巣・子宮・副腎重量, 血中ホルモン値に及ぼす影響を検討した. その結果, スルピリド投与群ではonset of pubertyは影響を受けず, 副腎重量が小さく, 血中FSHが低値を示した. これに対しブロモクリプチン投与群ではonset of pubertyが遅れ, 副腎重量が大きかったが, 血中ホルモン値には影響がみられなかった. 以上の結果より生後第3週以前においてはPRLが性成熟を抑制する作用を持つことが示唆された. また生後第4週以降では高PRLによるonset of pubertyの促進は認められなかったが, 低PRLによってonset of pubertyの遅延が認められたことから, あるレベルの血中PRLは円滑な性成熟のために必要であると推測された. これらの点で生後第3週以前は低く第4週以降上昇する血中PRLの動態は合理的であると考えられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1993-09-01
著者
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