習慣流産患者に対する夫リンパ球感作療法に伴うcytotoxic T lymphocyte precursor(CTL-p)の変動に関する解析
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概要
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近年, その有効性が報告されている習慣流産患者に対する夫リンパ球感作療法 (以下感作療法と略) に伴う, 患者免疫能の変動特に夫系抗原に対する免疫学的認識相の変動を明らかにするため, 解析を行い以下の結果を得た. 1. 抗原感作により惹起される細胞性免疫反応の認識相からエフェクター相の変動を鋭敏に反映する細胞障害性T細胞前駆細胞 (cytotoxic T lymphocyte precursor, 以下CTL-pと略) 頻度を限界希釈法を用い測定した. 感作療法を施行した10症例における感作療法前のCTL-p頻度は平均1/93,620, 感作療法後約4週間における頻度は1/33,860であり, CTL-p頻度は有意 (p<0.01) に増加を認めた. 2. HLA既知第三者リンパ球を刺激細胞として用いた解析により, CTL-p頻度の増加は夫リンパ球に特異的であることが示唆された. 3. 感作療法前後に採取された自己血清添加実験ではCTL-p頻度の平均は, 感作療法前血清添加では1/30,642, 感作療法後血清添加では1/91,542であり, 有意 (p<0.01) の減少が観察された. 以上より, 習慣流産患者に対する感作療法により患者末梢血中に夫抗原特異的なCTL-p頻度が増加することが明らかとなり, 夫抗原に対する免疫的認識が亢進することが示唆された. また, 感作療法後の患者自己血清には夫抗原に対する細胞障害性を抑制する働きが存在することが示唆された.
- 1993-06-01
著者
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