当院における母体血中α-フェトプロテイン(MSAFP)532例の検討 : 中央値, 妊娠経過と臨床的評価
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概要
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母体血中α-フェトプロテイン(MSAFP)のスクリーニングはだんだん知られるようになり, それを用いた胎児異常の出生前診断が産科管理の一部となりつつある. 今回, 1990年6月より1991年1月の間に外来を受診した妊娠12週から19週の516人を対象に再検例を含めでMSAFPを総計532例調べた. 1. MSAFP高値(2.5MOM以上)は5例(0.9%), 内訳は胎児死亡1例, 双胎1例, Breus' mole 1例, 2例は正常化した. MSAFP低値(0.5MOM以下)は33例(6.2%)あり, 羊水検査施行した26例中, 染色体異常(46, XY, 16p+)を示したのが1例(3.8%)みられた. 2. MSAFP正常値は494例(92.8%)あり, 異常妊娠経過をとつたのは33例(6.7%), 早産8例, SFD 8例, LFD 6例, PIH 6例, IUFD 2例, Klinefelter's syndrome 1例, Cystic hygroma 1例, 気管食道瘻1例であつた. 3. MSAFPが著しく上昇した例で超音波検査と羊水検査が正常の場合はhigh-risk pregnancyとみなして胎盤異常の有無に注意し, 厳重な経過観察が必要である. 4. 妊娠12週から19週のMSAFPの中央値と検出された範囲(以後カッコ内に数値を示す)はそれぞれ15 (12.0〜47.2), 26 (13.8〜51.7), 33 (10.2〜187.7), 42 (15.6〜96.4), 46 (24.5〜396.5), 54 (20.4〜362.2), 56 (30.6〜240.6), 64 (34.7〜131.2) ng/mlである. 今回, 最近の文献も参考にして, MSAFPの中央値, MSAFPの異常値例の妊娠経過を検討し, さらにそのスクリーニングの意義, 臨床的評価についても考察した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1992-10-01
著者
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