子宮頚部におけるHuman Papillomavirus(HPV)検出法の検討 : Polymerase chain reaction(PCR)法を中心として
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概要
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女性***におけるHuman papillomavirus (HPV)感染は, 子宮頚部の病変, 特に子宮頚癌との関連性について近年急速に注目を集めるに至つた. 今回筆者は, Polymerase chain reaction法(以下, PCR法)により子宮頚部におけるHPV感染の有無を検索し, 従来のSouthern blot法と比較した. また, 狙い組織診と洗浄細胞採取法の2方法でDNA抽出後, PCR法を行い検出結果を比較した. 1. 摘出組織16例を用いて通常Southern blot法とPCR法の両者でHPV検出結果を比較したところ, 前者とPCR法後high stringency下でのhybridization (以下PCR法-H)の結果はほぼ一致した. また, 前者で陰性であつた14例中, PCR法後low stringency下でのhybridization (以下PCR法-L)により子宮頚癌組織で2/6例, 正常子宮頚部組織で4/8例が新たに陽性を示した. PCR法を用いた臨床材料56例(前出16例を含む)でのHPV陽性率はPCR法-Lで子宮頚癌50.0%, 正常子宮頚部20.0%であつた. PCR法-Hでは子宮頚癌37.5%, 正常子宮頚部7.5%であつた. 2. 外来follow up中のCIN (cervical intraepithelial neoplasia)患者16例において子宮膣部洗浄細胞採取法で得られた検体と狙い組織診で得られた検体を用いてPCR法を施行してHPVの検出率を比較した. 16型において, 洗浄細胞採取法PCR法-Lで75.0%, PCR法-Hで62.5%の陽性率であつたのに対して, 狙い組織診ではPCR法-L及び-Hともに50.0%の陽性率であつた. 以上の結果からPCR法は, 子宮頚部におけるHPV感染の有無を検索するうえで, 優れた検出感度を有し, 洗浄細胞採取法を併用することで, 非侵襲的にHPVを検出することも十分可能と考えられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1992-06-01
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