サーモグラフィによる冷え性の診断の確立
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概要
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冷え性の診断に対するサーモグラフィの臨床的有用性を明らかにすることを目的として本研究を行つた. サーモグラフィを用いて冷えを訴える婦人(冷え性群)と冷えを訴えない婦人(対照群)の身体各部の表面温度を測定し, 外気温との相関関係について検討した. 結果 : 1) 冷え性患者では冷感部位とサーモグラフィ上の低温域は下肢・足部でよく一致し, 冷えを感じている状態では測定環境温以下の低温域として描出された. 2) 冷え性群では測定日の平均外気温と足部の平均表面温度の間に正の相関関係(足背r=0.63, 足底r=0.62)を認めたが対照群では認められなかつた. 3) 冷え性群では測定日の平均外気温と腹部最高温-足背部最低温の温度較差の間に負の相関関係(r=-0.60)が存在した. 温度較差6℃以上の出現頻度は冷え性群の方が対照群より有意に高かつた (p<0.001). 4) 平均外気温15℃未満の条件下では, 冷え性患者群の方が対照群に比べて, 足背部の平均表面温度が有意に低く (p<0.001), 腹部最高温-足背部最低温の温度較差は有意に大きく (p<0.001), 測定環境温以下の低温域の出現頻度は有意に高かつた (p<0.001). 5) 冷え性群では平均外気温の上昇につれて足背部の放射熱量は増加し, 腹部の放射熱量は減少する傾向を示したが, 対照群では示さなかつた. 以上より, 冷え性は平均外気温15℃以下になると発症しやすいこと, そして下肢の冷感はサーモグラフィ上によく反映され, 腹部と足部の温度較差が6℃以上あれば冷え性と診断しうることが示唆された.
- 1992-05-01
著者
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