正常子宮頚部組織及び頚部扁平上皮癌における上皮型cadherinの発現に関する免疫組織学的解析
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概要
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正常子宮頚部組織(10例)と子宮頚部扁平上皮癌(38例)を対象として, E-cadherinの発現に関し免疫組織学的に解析し, 臨床病理学的に検討を加え, 以下の成績をえた. (1) E-cadherinは, 正常頚部扁平上皮, 頚管被覆上皮・腺上皮の細胞間に認められたが, 間質組織には全くみられなかつた. (2) 頚部扁平上皮癌においても, E-cadherinは癌細胞間にのみ認められ, 間質には観察されなかつた. (a) これらは, 癌細胞間に均一に染色される症例[A]と不均一に染色される症例[B]とに大別され, それぞれ6例, 32例であり, 多くの症例で癌細胞相互の結合が均一でない可能性が推察された. (b) 組織型別では, 大細胞非角化型は, [A] 6例, [B] 23例であり, 小細胞非角化型1例と角化型8例はいずれも[B]であつた. (c) 臨床進行期(FTGO)別の [A]/[B] はI期 : 4例/8例, II期 : 1例/16例, III期 : 0例/5例, IV期 : 1例/3例であり, 進行症例に相対的に[B]の多い傾向を認めた. (d) 浸潤が筋層2/3まで(α, β)の6例は, [A][B]各3例ずつであり, 2/3を越えた(γ)症例と子宮傍結合織に及んだ(δ)症例計26例は[A] 3例, [B] 23例であつた. このうち大細胞非角化型24例では, (α, β)は[A] 3例, [B] 1例で, (γ, δ)は[A] 3例, [B] 17例であり, 浸潤の深い症例に[B]が多く, 推計学的に有意差(p<0.05)を認めた. (e) リンパ節転移陽性12例, 同陰性19例に関し, 原発巣の癌浸潤度別に原発巣のE-cadherinの発現をみると([A]/[B]), 転移陽性例ではγ : 0例/2例, δ : 1例/9例, 同陰性症例では, β : 3例/3例, γ : 0例/9例, δ : 1例/3例であり, δにおいて[B]にリンパ節転移の多い傾向が認められた. 以上より, E-cadherinの発現が子宮頚癌において浸潤・転移に関連した分子であることが推察された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1992-05-01
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