自然排卵周期及びhMG-hCG排卵誘発周期における超音波子宮内膜像の変化と卵巣ホルモンとの関係
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概要
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hMGによる排卵誘発周期の超音波の子宮内膜像について自然排卵周期 (自然群) と対比し, 併せて黄体期におけるhCG投与の有用性について検討した。hMG投与周期24例にはhMG 150IUを月経5日目から連日投与, 主席卵胞の3方向平均径が18 mmとなった時点で投与を中止, hMG最終投与48時間後にhCG 10,000IUを投与した。排卵誘発群のうち, hMG単独群 (7例) は以後無処置, hCG 3,000追加群 (10例) は初回hCG投与後5・9・13日目にhCG 3,000IUを, hCG 1,000追加群 (7例) にはhCG 1,000IUを追加投与した。経腟超音波による内膜の計測, 血中estradiol (E_2) 及びprogesterone (P) 測定は排卵後5日目までは連日, 以後は隔日に行った。経腟超音波の所見で子宮内膜の両側の高輝度部分の内膜の厚さに対する割合をHEA ratioとした。卵胞期の子宮内膜の厚さは自然群では経日的に増加し排卵日に約11 mmとなったのに対し, 排卵誘発群では初期から中期にかけて急速に増加し排卵4日前に約11 mmとなり, いずれも以後変化しなかった。HEA ratioは自然群では排卵日34%, 排卵後9日目に100%と増加したが, 排卵誘発群では排卵日すでに60%程度と高く, hMG単独群では排卵後4日目に72%となり以後増加せず, 黄体期も9日間と短縮した。hCG 3,000追加群 (黄体期17日間), hCG 1,000追加群 (18日間) のHEA ratioは排卵後7日目まで増加, それぞれ88%, 85%まで上昇し以後減少した。hCG追加両群の血中E_2はほぼ同程度で変動はほとんど認めなかったが, 血中Pは排卵後4日目以降も高値を持続したが, hCG追加投与ごとに急上昇, 急低下を繰り返した。また, hCG 3,000追加群でのhCG 追加投与後の血中P値はhCG 1,000追加群より高い傾向にあった。以上排卵誘発群において子宮内膜が卵胞期早期より肥厚すること, また排卵後はhCGによるluteal supportを行うと黄体期の延長を認めるがHEA ratioは自然群と異なり, さらに急激な血中Pの変動が示されることが判明した。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1992-04-01
著者
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