超音波ドプラ法による胎児腎動脈血流波形測定と推定児体重, 胎児尿産生率及び羊水量との相関
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概要
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妊娠28週以降42週未満のIUGR胎児を含む69症例を対象として, 超音波ドプラ法により胎児腎動脈血流波形を描出し, 得られた波形よりpulsatility index (PI) を求め, 妊娠週数並びに推定児体重との相関を検討した。次に, 妊娠36週以降41週未満の胎児腎動脈血流PIと胎児尿産生率及び羊水量との相関の有無を検討し, 以下の結果を得た。1. 正常発育胎児においては, 胎児腎動脈血流PIと妊娠週数との間には有意な負の相関が認められた (r=-0.676, p<0.01)。しかしながら, IUGR胎児の腎動脈血流PIと妊娠週数との間には相関を認めなかった。また, 妊娠36週以降のIUGR胎児のPIは同週数の正常発育胎児のPIに比べ有意 (p<0.01) に高値を示した。2. IUGR胎児を含む全例において, 推定児体重と胎児腎動脈血流PIの間には有意な負の相関を認めた (r=-0.633, p<0.01)。この有意な負の相関は正常発育胎児 (r=-0.637, p<0.01) のみならず, IUGR胎児 (r=-0.389, p<0.05) においても認められた。3. 妊娠36週以降の19例において膀胱容積を5分ごとに測定し時間尿産生率を算定した結果, 胎児時間尿産生率と胎児腎動脈血流PIとの間には有意な負の相関を認めた (r=-0.544, p<0.01)。4. IUGR胎児を含む妊娠36週以降の44例において, 羊水ポケット直径は胎児腎動脈血流PIと有意 (r=-0.517, p<0.01) な負の相関を示した。以上の成績より, 胎児腎動脈血流PIは妊娠週数よりもむしろ児体重と高い相関を有すること, そして胎児尿産生率, 羊水量とも相関を有することが明らかとなった。したがって, 妊娠後半期に羊水過少を示す症例では胎児腎血流量の低下と, それに伴い胎児尿産生量の減少が起こっている可能性が示唆され, 胎児発育とwell-beingの評価に胎児腎動脈血流計測は有用であると考えられた。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1991-12-01
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