妊娠中毒症妊婦における尿中11-Dehydro Thromboxane B_2値に関する検討
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概要
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妊娠中毒症と prostaglandin (PGと略) の関係については, PGI_2と thromboxane (TXと略) A_2との不均衡によると考えられ, PGI_2低下と相対的なTXA_2上昇がその発症原因の一つとして推定されている. その根拠となつているのは血中6-keto PGF_<1α> (PGI_2の非酵素的代謝物) とTXB_2 (TXA_2の非酵素的代謝物) 測定値であるが, 最近TXB_2について従来の測定値は採血時のartifactの影響を受けることが指摘されている. そこで本報ではTXA_2の安定したマーカーである11-dehydro TXB_2を用い, 以下の成績を得た. (1) 正常妊娠経過及び重症妊娠中毒症 (後期)の妊婦の尿中11-dehydro TXB_2を ^<125>I〕RIAキット(Amersham社製)を使用して測定する系を確立した. (2) RIAキット測定値は gas chromatography-mass spectrometry (GC/MSと略)の結果とよい相関性 (n=21, r=0.95)を示した. (3) 尿中11-dehydro TXB_2値は非妊時 (n=7, 2.62±1.71ng/mg Cr)に比較して, 正常妊娠では, 初期 (n=11,4.57±2.45ng/mg Cr) より増加し (p<0.05), 中期 (n=63, 5.75±2.81ng/mg Cr)から後期 (n=134, 6.33±2.60ng/mg Cr)にかけて更に増加した (p<0.01). (4) 妊娠中毒症 (n=40)では 4.13±1.86ng/mg Crと正常妊娠後期より有意な低値を示した (p<0.001). (5) 尿中11-dehydro TXB_2値と胎盤重量の関係は, 正常妊娠では負の (n=23, r=-0.29), 妊娠中毒症は正の (n=17, r=0.37) 相関関係を示し, 更に妊娠中毒症の血圧との関係では, 負の (n=40, 収縮期血圧r=-0.30, 拡張期血圧r=-0.44) 相関関係を示した (p<0.0001). 以上の成績から妊婦尿中11-dehydro TXB_2を測定することにより, 妊娠中毒症発症の予知推定や病態を把握する際に有効な指標となると考えられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1991-07-01
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