子宮頚癌予後判別におけるX線CTの役割
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概要
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5年以上の転帰が判明している129例(転帰良好75例, 不良54例)を対象として, 子宮頚癌の治療前CT所見に基づく予後判別を試みた. CT所見の評価は当教室で使用している9項目の分類に従った. 1)良好群, 不良群別の各項目における所見出現率は各々, (1)子宮頚部陰影の拡大40.0%, 64.8%(p<0.01), (2)子宮頚部陰影内のlow density area 18.7%, 37.0%(p<0.05), (3)壊死性空洞4.0%, 33.3%(p<0.001), (4)子宮留膿症8.0%, 31.5%(p<0.01), (5)子宮頚部陰影の不整不明瞭2.7%, 51.9%(p<0.001), (6)子宮傍組織陰影25.3%, 87.0%(p<0.001), (7)腔方向への進展2.7%, 37.0%(p<0.001), (8)膀胱方向への進展8.0%, 57.4%(p<0.001), (9)リンパ節陰影の拡大0%, 27.8%(p<0.001)とすべての項目で不良群における所見出現率が有意に高かった. 2)数量化II類を用いて多変量解析を行ない, それをもとに以下のごとき予後判別CTスコアを作成した. 各項目の, 所見なし, (6)の陰影なし, type A, および(8)のgrade 0を0点とし, (1)+1, (2)-1, (3)+1, (1)-3, (5)+25, (6)type B+29, C+25, D+10, (7)+2, (8)grade I+12, II+7, III+20, (9)+18, の点数とし, 判別点を0とするために定数を-30とした. このスコアによる予後良好, 不良の判別率は, 82.9%であり, 放射線治療例(n=47)のみの検討では-2を判別点とした場合の判別率は85.1%であった. 3)進行期とCTスコアの点数の検討では, 期が進むに従い有意に点数が高くなり, 同一期内でも良好群, 不良群間の点数はII期, III期で有意差が認められた. 不良群における点数と生存月数の間には負の相関があり(r=-0.37, p<0.05), 放射線治療例ではさらに高い相関が認められた(r=-0.54, p<0.01). 以上の成績より, 今回作成したCTスコアは予後判別のみならず, 頚癌進行度の評価や再発のrisk推定にも有用であるとの結論を得た.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1991-02-01
著者
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