子宮体部病変におけるMagnetic Resonance Imaging(MRI)の臨床応用
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概要
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最近, 婦人科疾患の診断にも, MRI (Magnetic Resonance Imaging)が導入され, その有用性が報告されている. 今回, われわれは, 正常子宮および子宮疾患に関してMRIの有用性を検討し, 下記の結論を得た. 1.正常子宮: 正常成熟期婦人の子宮体部はT_2強調像において, 子宮腔側から中央部高信号層, 境界部低信号層(junctional zone), 外側中信号層の三層に大別された. またその信号強度と厚さは, 月経周期により変化が認められた. とくに, 分泌期子宮内膜最大径は, 12.8±3.6mmであり, 増殖期内膜最大径5.4±0.7mmに比し, 有意(p<0.01)に肥厚した所見を得た. これに対し閉経後婦人の子宮体部は, 高信号の子宮内膜と中信号の子宮筋層の二層に大別され, 内膜最大径は, 4.1±0.9mmと萎縮しており, 6mmを越える例はなかった. 2.子宮疾患: a.良性疾患では, 子宮筋腫と子宮腺筋症の鑑別に有用であり, T_2強調像において, 筋腫核は円形あるいは楕円形の辺縁明瞭な腫瘤として描出され, 腺筋症では内膜周囲より広がる辺縁不整な低信号領域として描出された. b.悪性疾患である子宮体癌では, T_2強調像で高信号の子宮内膜の増大が特微的であり, 最大径で16.5±6.9mmであった. とくに閉経後の体癌例では非体癌例の最大径4.1±0.9mmに比し, 有意に増大(p<0.01)しており, 全例で10mmを越えていた. また, 体癌例で筋層浸潤が1/3を越えるものは, (1)内膜最大径・体部横径比50%以上, (2)筋層最小値5.0mm以下, (3)筋層最小値・最大値比50%以下を満たしていた. さらに, 体癌例の頚部浸潤は, 筋層にまで浸潤が及んでいるものでは, すべてT_2強調像で検出可能であった. 以上よりMRIは正常子宮の同定, および子宮筋腫と腺筋症の鑑別, さらに, 子宮体癌の筋層浸潤, 臨床進行期別診断に有用な検査法であることがわかった.
- 1990-07-01
著者
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