脱落膜プロラクチンの形態学的研究 : 主として免疫組織化学的方法を用いて
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概要
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ヒト脱落膜(decidua)は羊水中に多量に存在するプロラクチン(PRL)の分泌源とされているが, その分泌形態については定説に至っていない. そこで免疫組織化学的に分泌像を調ベ, 分泌顆粒を観察し, さらにdecidua内に存在する他の顆粒, すなわちlipid, lysosomeとの鑑別についても検討した. 方法としては正期産卵膜よりdecidua parietalisを分離したのちZamboni液で固定し, Vibratomeを用いて40μの切片を作成した. 次に抗PRL抗体を用いてPAP法にてdeciduaに免疫染色を行った. その結果, 光顕では細胞質周辺が染まるもの, 核周辺が染まるものがみられた. これらの超薄切片での電顕所見では直径1,000nm〜2,000nm, ときに3,000nmにも及ぶglobulesがみられ, これらglobulesは辺縁部と中心部でDABがosmiumと反応して, osmiumblackに染色され, PRLの局在を示していた. さらに従来よりdecidua内に存在するといわれたlipidとlysosomeを識別するため次のような操作を行った. deciduaをSudan III法で脂肪染色した後alcohol脱水せずにeponに繰り返し浸漬した後epon包埋し, 薄切した. lipid顆粒は2,000nm〜4,000nmの大きなものであり, その数はあまり多くはない. 次にlysosome顆粒を染めるためGomori法にて反応させた. lysosomeは700nm〜1,500nm程度の大きさで, 顆粒内には電子透過性の低い不整像がみられた. これらの結果より, PRL顆粒は, osmiumblackに染まるもので, 形態, 大きさ, 染色性をもとに, 他の顆粒より識別可能であると思われる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1990-07-01
著者
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