ラット子宮卵管動静脈クランピング虚血による胎仔仮死に対するビタミンEの防御効果 : 脂質過酸化の観点から
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概要
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妊娠ラットの子宮卵管動静脈をクランピングして起こした子宮胎盤系の循環虚血による胎仔仮死の病態を, 脂質過酸化反応との関連から調べ, 食餌性ビタミンEによるその防御効果を検討し, 以下の成績を得た. 1. 母体の血清中および肝臓中のビタミンE含量はビタミンEの投与量と比例していた. 胎仔の脳, 肝組織中および胎盤のビタミンE含量ほビタミンE投与食群で有意に高い値を示したが, ビタミンE欠乏食群と対照群との間には有意の差がみられなかった. 2. 胎仔組織中のビタミンE含量は母体のそれの10%以下と低い値を示した. 3. 胎仔仮死の指標として用いた, パルス・ドプラー法により測定した胎仔の心拍数は, 虚血により減少した. 血流再開によってビタミンE投与食群では心拍数はすみやかに回復するが, ビタミンE欠乏食群および対照群では回復は遅くまた不十分であった. 4. 胎仔脳, 肝組織中および胎盤中の過酸化脂質の量は, 子宮卵管動静脈クランピング虚血と血流再開により有意に増加し, その増加はビタミンEの投与によって著しく抑制された. 以上の結果から, 子宮胎盤系の循環不全による胎仔仮死の病態の増悪に脂質過酸化が深くかかわっていることが推測され, ビタミンEは抗酸化作用を介して胎仔仮死を防御することが示唆された.
- 1990-05-01
著者
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