ヒト卵巣腫瘍における組織内T抗原の研究
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概要
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ピーナッツレクチン(PNA, Arachis hypogaea)を利用したAvidin-Biotin-Peroxidase Complex(ABC)法を用いて, ヒト卵巣腫瘍組織内のT抗原の意義を検索し, 以下のような結果を得た. 1) 良性卵巣腫瘍の76.9%はT抗原陰性でCryptic T抗原陽性であった. 2) 悪性卵巣腫瘍の55.2%はT抗原陽性であり, 20.7%はT抗原, Cryptic T抗原ともに陰性であった. 3) 悪性卵巣腫瘍においては組織学的分化度が低くなるにつれて, T抗原陽性率およびT抗原陰性かつCryptic T抗原陰性率が増加した. 4) 転移のある症例の81.8%はT抗原陽性であった. 以上の結果より, 卵巣腫瘍組織中のT抗原が陰性でCryptic T抗原が陽性のものは良性のことが多く, T抗原が陽性あるいはT抗原もCryptic T抗原も陰性のものは悪性の可能性が強いと考えられ, T 抗原は卵巣癌の腫瘍マーカーの一つとして有用なものと思われた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1990-01-01
著者
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