妊娠中毒症胎盤絨毛組織の超微形態学的研究 : とくに一般二重固定法と未固定組織凍結法による差について
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概要
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妊娠中毒症胎盤の形態学的変化と機能を検討する目的で, 正常妊娠胎盤10例, 妊娠中毒症胎盤15例につき, 胎盤関門を中心に超微形態学的観察を行った。さらに, 未固定組織凍結法 (QM) を用い, その組織と, 一般二重固定法 (CM) により処理した組織とを形態学的に比較検討した。1. ジンチチウム細胞の微絨毛 (m.v.)・粗面小胞体 (rER) は, 妊娠中毒症胎盤で腫大しているものが多く, 腫大部の直径はCMのものに比し, QMでそれぞれ約48%・約80%大きかった。よって, これらの腫大は水腫変性であることが示唆された。2. ジンチチウム細胞の結合織への細胞質突出は, CMでは妊娠中毒症胎盤で全例認められたが, QMではsmall for datesを伴った妊娠中毒症胎盤にのみ強く認められた。すなわち, small for datesを伴った妊娠中毒症胎盤のジンチチウム細胞は, 生体内ですでに収縮している可能性を有することが示唆された。3. 妊娠中毒症胎盤における胎児毛細血管内皮細胞の厚さは, 正常妊娠胎盤のそれと比較して, CMでは厚く, QMでは逆に薄かった。以上より, QMで作製した組織の形態は, 固定液による収縮・脱水の影響がなく, 生体内にあるがままの姿により近い像として捕えられることが示唆された。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1989-05-01
著者
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