コラーゲン・ゲルを使用した, 腺上皮細胞と間質細胞の無血清培養による, ヒト子宮内膜in vitroモデル再構成の試み
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概要
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コラーゲン・ゲル上およびゲル内にヒト子宮内膜上皮細胞を培養することにより円柱上皮および腺としての三次元構造を再現し, 光顕的, 電顕的に観察した。そのエストロゲン (以下E), プロゲステロン (以下P) に対する反応性はPAS染色によりグリコーゲン産生を指標として検討した。また, ゲル内に間質細胞を, ゲル上に上皮細胞を培養しその相互作用を検討した。実験に供した組織は, 当科にて子宮頚部上皮内癌, または良性疾患により摘出されたもののうち, 28歳より48歳までの正常周期を有するものを使用した。上皮細胞と間質細胞との分離はステンレス・スティール製篩にて行い, ゲル上またはゲル内に適当な密度に分散させた。上皮細胞のゲル上培養および間質細胞との同時培養の場合は培養2日目にゲルをカルチャー・ディッシュから剥離し浮遊コラーゲン・ゲル法とした。浮遊コラーゲン・ゲル法による培養ではゲル上に一層の円柱上皮細胞からなる層が形成され, ゲル内培養では一層の円柱ないし立方上皮に囲まれた中空の球形ないし楕円体の腺構造が形成された。これらの細胞ではゲル側に核が配列し明らかに極性が認められ, 電顕的にも上皮細胞であることが確認された。間質細胞との同時培養では間質細胞はゲル内の表面近く, 上皮細胞層直下に集まり, 集団を形成した。間質細胞が上皮細胞層を越えて増殖することはなく, 上皮細胞がゲル内に入り込むこともなかった。ホルモン反応性に関してはE又はPの添加の有無, および組織採取時の性周期における日付には無関係にほぼ同様に上皮内にPAS陽性部分が認められ, アミラーゼ消化法でグリコーゲンであることが確認されたが, E, P添加による明らかな変化は認められなかった。間質細胞との同時培養でも上皮細胞のホルモン反応性に影響は見られず, 間質細胞自身も明瞭な脱落膜化等の変化は認めなかった。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1989-04-01
著者
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