卵果癒着を有する子宮内膜症例に対する腹腔鏡下癒着剥離術の有用性

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卵巣癒着を有する子宮内膜症婦人に対して, 腹腔鏡下卵巣癒着剥離術を行い, その有用性を検討した. 1989年1月より1995年9月まで腹腔鏡検査にて子宮内膜症と診断し, 卵巣癒着剥離術を施行しなかった89例(phase I群)と1995年10月より1997年3月までの期間に, 卵巣癒着剥離術を施行した子宮内膜症63例(phase II群)を対象とした. 腹腔鏡下卵巣癒着剥離術は卵巣を把持し, 特に卵巣と卵巣卵管間膜間, ならびに卵巣と広間膜後葉間の癒着を卵巣や卵巣固有靭帯の可動性が得られるまで入念に剥離した. 両群における卵巣癒着の重症度は, アメリカ不妊学会付属器癒着スコアを改変して, 左右の卵巣癒着スコアの合計が, 0〜5点(minimal), 6〜10点(mild), 11〜20点(moderate), および, 21〜32点(severe)の4群に分類した. 腹腔鏡施行後, 腹腔鏡下手術が有効であると考えられる1年以内の待機妊娠率を比較し, その有用性を検討した. 腹腔鏡下手術後の待機妊娠率は, phase II群が39.7%とphase I群の22.5%に比べて有意に増加していた(p<0.05). また, 卵巣癒着がminimal, mildにおいてphaseI群の待機妊娠率が29.3%, 22.7%に比較して, phase n群ではそれぞれ50.0%, 42.3%と高かった. さらに, moderateにおいても, phase I群の18.8%に比較して, 35.7%と高い待機妊娠率を得た. しかし, severeにおいては,両群ともに待機妊娠は得られなかった. 以上より, 卵巣癒着を有する子宮内膜症例に対して, 腹腔鏡下卵巣癒着剥離術は妊孕性向上のうえで有用な治療法と考えられた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1999-05-01

卵果癒着を有する子宮内膜症例に対する腹腔鏡下癒着剥離術の有用性

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