負の電荷をもつ中間子や反陽子は, 物質の中で止まったあとハドロン原子を生成し, そのボーア軌道に沿って原子核に近づくとただちに核に吸収され寿命を全うする. これに要する時間はわずかの10^<-12>秒とされている. この常識を破る奇妙な現象が最近東大グループにより見出された. 反陽子が10μsくらいもの間消滅をまぬがれうるという事実は, 反物質の合成やその物理・化学の研究に道を拓くかも知れない.