多励起子系
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概要
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最近, レーザー理論や生物物理学の発展に伴って, 開いた系の物理学が興味の対象になって来た. つまり, 外系からエネルギーが補給されている系の物理であるが, これは, 半導体物理においてはトランジスターにおける増幅機構, エサキ・ダイオードにおける負性抵抗, 電流不安定性に伴う超音波発振などとして, 以前からこのような概念には親しんで来た.ここで述べる高密度励起子系の問題も, そのような分類に属するものの一つである. ここではレーザー光を用いて, 励起子を結晶中に溜込んだ場合, 固体内素励起としての励起子が相互作用しあう結果として, 励起子分子, ポーズ凝縮, 金属液滴, Mott移転等の現象および概念がどのようなかたちで現われるかを展望する. これはまた, 自然に積極的に働きかけて, われわれの望む状態を結晶中に作り出し, そして物質の持っている特性を引き出そうとする一つの動きでもある.
- 社団法人日本物理学会の論文
- 1972-05-05