I. 鎖の物理 : 鎖の結晶化 (<特集> 高分子物理)
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概要
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高分子結晶には, 極薄板状の折り畳み鎖結晶と, 3次元的な伸び切り鎖結晶と呼ばれる二種類の結晶組織がある. 前者が熱力学的には不安定であるのに, 高分子固体の中ではむしろ普遍的にみられるのは何故か? 更には, 両者の生成を統一的な機構で説明できないか? という古くて新しい問題を, 「鎖の結晶化においては, 鎖が無秩序相や結晶相内を, 蛇のように滑る, というトポロジカルな性質 (鎖に沿った原子配列は常に保存され, 鎖同士は横切れない) が本質的に重要である」という観点からのアプローチにより, 解決することを試みる. 用いられる理論的枠組みは, 一般的な (2次元核形成律速型の) 結晶成長理論のものである. この問題は, この数年来見直され始めており, 新たな展開が期待されている.
- 社団法人日本物理学会の論文
- 1987-04-05