短時間の全身寒冷暴露による循環および体温の変化 : 運動群と非運動群の比較

概要

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男女の運動群非運動群について, 全身を5℃の寒冷下に10分間, 暴露し心拍数, 血圧, 舌下温および他の部位の皮膚温の時間的経過を調べ, 比較的簡単に耐寒性を判定する方法の有用性を検討するとともに, それを用いて短時間の寒冷暴露におよぼす身体トレーニングの効果を観察した。1)運動群および非運動群の身体的特徴として運動群では筋肉の発達が, 非運動群では脂肪の蓄積が認められた。またハーバード・ステップ・テスト・スコアーは, 男女とも運動群が有意に高く, 身体トレーニングにより優れた循環機能を獲得していた。2)安静時心拍数は, 男女とも運動群が非運動群に比べて有意に少なく, 鍛練性徐脈の存在がうかがえた。全身寒冷暴露中の心拍数は減少を示したが, 男女とも身体トレーニングの影響は認められなかった。3)血圧については, 全身寒冷暴露により収縮期および拡張期血圧とも上昇するが, その上昇の度合は運動群が非運動群に比べて少なかった。なお寒冷暴露10分間の平均変化率は, 男女とも運動群が非運動群よりも有意に小さかった。4)全身寒冷暴露による舌下温の変化は, 女子運動群で若干上昇したが, 女子非運動群では徐々に下降を示した。5)前額部温および腋窩温は, 全身寒冷暴露により, いずれも低下した。しかし, その低下率は、男女とも運動群と非運動群の間に差は認められなかった。6)腹部温および前腕温は, 全身寒冷暴露により低下し, 男女とも運動群の低下率が非運動群に比べて小さく, 男子の運動群と非運動群の間には有意な差が認められた。7)全身寒冷暴露により手指尖部温および足背部温は, 著しい低下を示したが男女とも身体トレーニングの影響は認められなかった。以上, 短時間全身寒冷暴露による心拍数, 血圧, 舌下温および各部皮膚温の変化を測定し, 運動群と非運動群の反応を比較検討した。この方法によって誘発された諸反応の測定は, 耐寒性の判定に有用であると思われる。また全身寒冷刺激に対する昇圧反応や舌下温および各部皮膚温の変化に身体トレーニング効果が認められることから, 運動群の耐寒性が優れていることを推測した。
1983-06-01

短時間の全身寒冷暴露による循環および体温の変化 : 運動群と非運動群の比較

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