WBGTを指標とした暑熱下運動時の生体応答と熱ストレスの評価
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
健康な成人男子6名(29±2歳)を対象に, WBGT22, 26, 30および32.5℃の4条件下で, 代謝量150W/m^2および250W/m^2の2種類の強度の自転車エルゴメーターによるペダリング運動を20分間ずつ, 5分間の休憩をはさみ間欠的に計3回行った. WBGTと生体応答の関係を検討し, 以下の結果を得た. 1. 心拍数およびRPPは150W/m^2の運動ではWBGT32.5℃で, 250W/m^2の運動ではWBGT30および32.5℃で22℃より有意に高値を示し, 酸素脈は150W/m^2の運動ではWBGT32.5℃で, 250W/m^2の運動ではWBGT30および32.5℃で22℃より有意に低下した. 2. 運動終了時の食道温およびその上昇度は, 150W/m^2の運動ではWBGT32.5℃で, 250W/m^2の運動ではWBGT30および32.5℃で22℃における値よりそれぞれ有意に高く, 体内温の上昇が認められた. 3. 体重減少量および体重減少率は2種類の運動条件ともWBGTの上昇に伴い増加し, WBGT26, 30, 32.5℃では22℃より有意に大きい. 150W/m^2の運動ではWBGT32.5℃で, 250W/m^2の運動ではWBGT30および32.5℃で発汗量の増加にも関わらず体内温が有意に上昇した. 4. 以上のことから, 150W/m^2の運動ではWBGT30〜32.5℃の範囲以上で, 250W/m^2の運動では26〜30℃の範囲以上で暑熱障害発生の危険性が大きいと推察される.
- 1992-08-01
著者
関連論文
- 女子ボート選手の模擬漕による漕力の評価とその体力
- 90.日本の男子ボート選手における有気的および無気的能力 : 体格,体力,身体組成,測定法
- 247. ボート選手における最大ローイング作業成績の標準化 : 競技者の体力に関する生理科学的研究, トレーニングに関する生理科学的研究
- 273. 一流漕手のローイングパフォーマンスに関与する身体諸能力の貢献度 : 体型,体位,発育発達等に関する研究 : 第42回日本体力医学会大会
- 272. 最大ローイングテストからみた日本とアメリカの一流女子漕手の体力比較 : 体型,体位,発育発達等に関する研究 : 第42回日本体力医学会大会
- 043204 最大ローイングからみた一流漕手の体力(4.運動生理学,一般研究B)
- 29.ローイング・エルゴメーターによるクルー別体力評価 : 体型,体位,発育発達等に関する研究
- 77.高温環境下の下腿温浴および運動負荷に対する暑熱反応の性差 : 運動生理学的研究I
- 4067 最大下作業時のPhysical Working Capacityについて
- 224.運動時の温熱環境と体重減少 : 生物科学III (環境・訓練,管理など)
- 042H08 生活活動内容の異なる高年者の1日エネルギー消費量に関する研究
- 092205 ダンスにおける創造性と一般創造性との関係(9.体育方法,一般研究A)
- 1021 日射病予防としての帽子(運動帽)の検討
- 運動時暑熱障害事故発生と環境温度(WBGT)の関係
- 042なF07 運動時の環境温度(WBGT)と飲水量,体重減少量および発汗量の関係
- 192.運動時の温熱環境と体重減少(第2報) : 体格,体力,身体組成,環境,栄養,消化
- 4048 サーモグラフィからみた脚運動時の上肢皮膚温変動
- 4087 最大作業時の発汗反応について
- 228.運動種目と発汗量および飲水量の検討
- WBGTを指標とした暑熱下運動時の生体応答と熱ストレスの評価
- 041I14 中・高年婦人を対象とした体操クラブにおける運動強度と運動量
- 28.運動時発汗の連続測定について : Custance Sudorimeterを用いて : 運動生理学的研究 : 第34回日本体力医学会大会
- 111.体温調節からみた最大下作業時の性差について : 運動生理学的研究I : 第36回日本体力医学会大会
- 5.有風下運動時の心理・生理学的反応 : 適応と訓練効果に関する研究
- 高温下運動とWBGT指標 : 運動強度別の検討