斜面地特性に応じた安心安全のまちづくり:高密度斜面居住問題の総合的解決(<特集>福祉のまちづくりの新展開)
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概要
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2004年度の合併前の長崎市は市街地の7割が斜面地であり、その大半は、車が入らない細街路と階段で構成された高密度居住地である。たとえば、十善寺地区においては、車が進入できる道路の割合は総延長(水平距離)の約12%であり、市内(合併前)の他地域に比べて、高齢者のみの世帯や高齢者の一人暮らし世帯が多い。また、人口の減少が進行し、空き家・空き地が増加し、コミュニティの弱体化が進み、近隣で生活障害を支えあう地域の力が期待できない。斜面居住地は、自力での階段の上り下りが難しい高齢者や障害者にとっては、1)社会との関わりである外出に関しての障害、2)日常の生活と暮らしの場との不適合、3)災害や救急などの緊急時の不安、という3つの生活障害を抱えている。地域ケアの考え方に基づく、長崎斜面研究会の活動実践は、高密度斜面居住地の生活障害の解決策の一指標といえる。