幼児の物語理解に影響する要因 : 作動記憶容量と意図情報の役割に注目して
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概要
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幼児の物語理解能力を規定する要因の1つとして,作動記憶容量の限界が考えられる。本研究では,作動記憶容量の限界を補う方略として,登場人物の意図を明示することによる意図情報の役割に注目し,その効果について検討した。まず,幼児(4;5〜6;5)を対象にリスニングスパンテストを行い,作動記憶容量大群と作動記憶容量小群に分けた。次にそれぞれの群の物語理解を,物語の登場人物の意図を明示した場合と明示しなかった場合とで比較した。その結果,意図情報の明示によって物語スキーマが活性化されると,物語の展開の把握が容易になり,文章の逐語的記憶及び文章全体の理解が促進されることが見出された。これは,文章処理が効率化されたためであると考えられ,意図情報は作動記憶容量の限界を補うことが示された。
- 2002-12-25