体育学習の不振の原因について : 各教科教育法に関する教育心理学的研究XI(体育科)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
(3)この研究は体育学習不振の生徒について,その不振原因を捜す目的で行なわれた。(2)東京都s中学校の各学年2学級ずつを選び,この学級で体育科の成績評定の下位のものを最下位から5名,したがって各学年10名ずつ計30名とり,これを体育学習不振の生徒とし(該当生徒とよぶ),他方,それら学級で体育科の成績評定の上位のものを最上位から5名,したがって各学年10名ずつ各30名とり,これを該当生徒と比較する生徒とし(比較生徒とよぶ),前者が後者に比し,身体・生理的条件,知能的条件,情緒・性格的条件においてどれほど劣っているか,また,教師の指導の方法・技術によっていかに不利を負わされているか,を調べた。(3)その結果は,およそ,次のようである。イ 身長,体重の平均以下であるもの,病弱であるもの,また「動作がのろい」「運動ののみこみがわるい」と自己判断するものは,比較生徒よりも該当生徒の方に,より多い。ロ 知能の平均以下のものは,比較生徒よりも該当生徒の方により多く,かつ,このものは体育科以外の教科も劣悪である。ハ「おくびょうである」「はずかしがりやである」「すぐにあがってしまう」などと自己判断するものは,比較生徒よりも該当生徒の方に,より多い。ニ 教師の指導の方法・技術によってより多く不利を負わされているものは該当生徒の方である。学びたくない運動種目たとえば,マット運動,鉄棒,を学ばなければならないはめにおかれているものは,該当生徒の方により多いのである。(4)上記の結果から,体育学習不振の原因を考えると,それとして,身体・生理的条件,知能的条件,情緒・性格的条件において劣っていること,教師の指導の方法・技術によって不利を負わされていることなどをあげることができる。而も,それぞれは,それのみで決定的な原因になっていることもまったくないではないが,ほとんどの場合,相互にからみあって,不振の原因になっているといわなければならない。
- 日本教育心理学会の論文
- 1960-03-30
著者
関連論文
- 現場に奉ける教育心理学の諸問題
- シンポジウム 考えさせる家庭科指導の方法
- プログラム学習実践の実状(第5回総会宿題報告Teaching Machineをめぐつて)
- 613 小学生の漢字の読みについての研究 : 授業過程の分析による (日本教育心理学会第4回総会部門別研究発表要旨・討論の概要 : 15. 教科の心理・教授過程)
- 文学学習の研究 : 漢字のばあい : 日本教育心理学会第2回総会報告 : 研究発表要旨および討論の概要 : 教科の心理I
- 体育学習の不振の原因について : 各教科教育法に関する教育心理学的研究XI(体育科)
- 分団学習