幼児における重なり合った2つの対象の再構成と描画に関する発達的研究
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概要
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本研究では, 2個のコップを前後に重ねて呈示し, 幼児(年少26名, 年中36名, 年長38名)にそれを見えているとおりに再構成させると同時に描画させ, その反応から知的リアリズムの発達的変化を検討した。結果は, 再構成では年齢にともない見えどおりの反応(正反応)が増加し, 描画では年少から年長にかけて正反応が増加した。また, どの年齢でも再構成の方が描画より正反応が多かった。次に, 描画における誤反応を, 円を描くだけの象徴型, コップの典型的な見えを描く標準型, 個々のコップの向きを正しく描く前情報型, 向きと同時に配置関係を描く情報型に分類し, その発達的変化および再構成反応との関係を検討した。その結果, 年少では象徴型, 年中では標準型, 年長では情報型が多かった。また, 年中・年長においては, 情報型を示す被験児は再構成で正反応が多く, 象徴型や標準型を示す被験児は再構成で誤反応が多かった。結果から, 年少や年中では対象の配置関係を考慮せずに反応するため両課題で誤反応が多く, 年長では配置関係を考慮しているので再構成では正反応が多いが, 描画ではその配置情報を示そうとして知的リアリズム反応が多くなることが示唆された。
- 日本教育心理学会の論文
- 2001-09-30
著者
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