接触様式からみた親子の親近感情
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概要
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親子関係を,これまでとは少し見方を変えて検討しようという目的から,本研究は計画された。Cattell(1950のシンタリティの考え方をもとにして,次のような計画がたてられた。1.親子の仲のよさを測定する尺度の作成2.上記の親疎尺度(I-S)による接触様式の次元の抽出3,I-Sと大石(1962)のP-C-Sとの関係の検討その結果,次のようなことが明らかにされた。1.母と子の接触様式の次元(1)生活全般にわたる仲のよさ・悪さを示す接触様式(2)母と子の間を断絶する,積極的な"疎"バランスのとれた,仲のよさと民主的関係。(4)仲はよいが,子どもへの積極的な働きかけのないものわかりのよい母親。(5)子どもへの関心が高く,影響力を持とうとする傾向のある母親。2.父と子の接触様式の次元(1)生活全般にわたる,仲のよさ・悪さを示す接触様式(2)非等質的な父と子の生活空間。(3)仲のよい家庭ではあるけれども,子どもへの積極的な働きかけが抑えられている父親。(4)ふれあいがちぐはぐな父と子(5)強い愛着と憎悪3.P-C-SとI-Sとの相関から,父・母と子どもとの仲のよさ・悪さと,その親子関係のよさ・悪さとの関連のしかたには基本的なちがいのあることが見出された。すなわち,父では,社会的相互作用の加味された関係の持ち方でのよさが父の子の仲のよさと結びつくのが目立ち,母では,単純に母と子の間だけでの関係の持ち方でのよさが母と子の仲のよさと結びつくのが目立っている。4.以上のことから,さまざまな父・母の役割りのちがいや,接触様式のちがいが検討された。この他に,父・母のI-S項目間での相関係数のちがいや,I-S尺度化のちがいなどが簡単に考察された。
- 1966-06-30