高齢者のメタ記憶 : 特性の解明,および記憶成績との関係
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概要
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本研究は,高齢者のメタ記憶の特性の解明,およびメタ記憶と記憶成績との関係を明らかにすることを目的として行われた。被験者は高齢者と大学生それぞれ45名であり,日常的な状況(一般メタ記憶)と,記憶テスト前という特定の状況(特定メタ記憶)において2回メタ記憶を測定した。メタ記憶質問紙の因子分析の結果,5因子が抽出された。状況という観点からメタ記憶の特性を明らかにするため,一般メタ記憶と特定メタ記憶を比較したところ,高齢者では記憶テスト前には「記憶に対する自信」が低くなるものの「記憶に対する不安」は高くならないことが明らかになった。次に,加齢という観点からメタ記憶の特性を明らかにするため,高齢者と大学生のメタ記憶を比較したところ,高齢者の「記憶に対する自信」は大学生よりも高かった。さらに,メタ記憶と記憶テストとの関係を検討したところ,高齢者では記憶成績と特定メタ記憶における「記憶に対する自信」に有意な負の相関が見られた。つまり,記憶に自信があると評価している高齢者ほど,記憶成績が低いことが示唆された。
- 日本教育心理学会の論文
- 1999-12-30
著者
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